生協知っトク情報(投稿者: wpmaster

2022/07/01
未分類

第6号 話そう!更年期

 同年代(アラフィフ)の友人らと「これまでのコロナ生活で何がしんどかったか?」を語り合った時のこと。外食しにくかった、気晴らしできなかった…いろいろ挙がる中、1人が「人に会えない時期、めまいとか肩こりとか、病気とまではいかない不調を誰にも言えなかったのがつらかった」とつぶやいた。すると別な友人が「でも会う機会があったとしても、更年期のことはなんとなく話しにくくない?」。確かにそうやね、とその場にいた全員がうなずいた。

▽離職者46万人、「社会全体でサポートを」
 そんな会話をした後、更年期をテーマとしたNHKスペシャルを見た。番組で紹介されていたNHK実施の大規模アンケート調査によると、40~50代女性のうち更年期症状を経験している人は約4割。調査を基にした推計では更年期障害で離職した人は46万人にも上るとのことだった。更年期の不調によって、人生の岐路に立たされる人がたくさんいると知り、驚いた。
 更年期とは多くの女性が閉経する50歳前後の約10年を指す。この間、女性ホルモンの分泌量が急激に減る影響で、様々な症状が起きるとされている。代表的なものとして、のぼせやほてりなどの「ホットフラッシュ」が思い浮かぶが、現れ方は多岐にわたり、軽重も個人差が大きい。
 多い日には30人以上の更年期患者が訪れる「堀聖奈産婦人科・乳腺クリニック」(神戸市西区)。その中にも、症状がきつく、仕事を辞めざるを得なかった人がいたという。堀院長は「今の50歳前後の女性は、社会でも家庭でも重要ポジションにいる、いわば働き盛り。彼女たちが更年期をうまく乗り越えていけるよう、社会全体でサポートしていくべき」と話す。SDGs(持続可能な開発目標)の1つ、ジェンダー平等実現にもつながっていくだろう。

▽なぜか言えない
 私自身は数年前、突然不眠になった。どうやっても眠れないので毎晩布団の中であれこれ思いを巡らすうち、すっかりネガティブ思考に陥ってしまった。食欲もほとんどなくなり、家族に「頬がこけてきた」と指摘されるようになった。「自分は大病なのでは」という不安にとらわれ、どん底の精神状態だったある時、内科医に勧められ、全身CT検査を受けた。結果は「異常なし」。
 「不眠は更年期の影響かもしれませんね。めずらしいことではありませんよ」。その言葉で、目の前にあった霧がぱっと晴れ、抱えていた不安定な気持ちを医師に吐き出した。そしてその晩はぐっすり熟睡できた。
 今でも当時、どうして周囲の人に早めに相談できなかったのだろうと考える。「もしかして更年期かな?」と疑った瞬間もたびたびあったのに。
 一つ思い当たるのは、「不眠くらいで苦しいと言ってはいけないのではないか」という引け目だ。ホットフラッシュのような特有の症状であればともかく、原因不明で眠れないだけの私がそのことをわざわざ人に話すなんて…と、自分の中で〝症状ヒエラルキー〟を作り上げていた。それ自体ネガティブ思考の一環だったのかもしれないが。
 悩みを共有すること自体、一筋縄でいかない更年期。私たちはどう向き合っていけば良いのだろう。

▽〝先輩〟と語り合おう
 まずは更年期外来の受診が理想的だが、病院に足を運ぶのをためらう女性は多いようだ。「婦人科検診で来院した人が『実は更年期症状に苦しんでいて』と打ち明け、通院が始まるケースも多い」(堀院長)という。同クリニックでは、副作用の少ない漢方薬をはじめとし、本人の希望を聞きながら症状に合った治療法を進めている。気分の落ち込みや不眠など心の症状には、診察室でじっくりと話をして改善を図る場合も。
 堀院長は「病院の敷居が高いようなら、ひとまず周囲の人に思い切って話をしてみてください。同世代の女性でも良いですが、更年期を経験済みの〝先輩〟世代なら、より気楽に語り合えるかもしれません」と勧める。「どんなにつらくても何年かしたら必ず落ち着きます。だいじょうぶです」。
 ところで、更年期症状に悩む皆さんは同居家族にどんな対応を求めているのだろう。私の周囲約10人に聞いたところ(複数回答)、「とにかく話をうんうんと聞いてもらいたい」(2人)、「『ありがとう』とか『頑張ったね』などの声掛けが欲しい」(1人)、「ほっといてくれ」(1人)などの回答があったが、圧倒的に多かったのは「しんどい時、代わりにごはんを作ってほしい」(8人)であった。ご参考まで。

(文・青木理子)

2022/04/01
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第5号 ザ・在宅健康管理術

 コロナの感染が拡大すると、在宅勤務の人が増える。受信メールに「在宅なので連絡はメールでお願いします」と書いてあると「おお、この人も家にいてはるんや」と、勝手に親近感を持つ(フリーなので、コロナ前から家で仕事をしています)。
 誰ともしゃべらず1日パソコンに向かっていると、何ともいえない孤独感に陥ってしまう瞬間がある。そんな時、子どもがおやつ交換でもらい、置きっぱなしにしているチョコやクッキーをつい口に入れてしまう…のは私だけなのだろうか。
 だがコロナの影響で家族が終日家にいると、監視の目が働き、おやつ置き場に近づくことができなくなる。さらに昼食準備などで立ち働く時間が増える。その影響か、一昨年から昨年にかけて私は4キロ痩せた。この件、自分の中では「緊急事態宣言ナチュラルダイエット」と呼んでいる。
 私の体重減は上記の事情が大きいと思われるが、在宅ならではのヘルスケアを実践し、健康を維持している人も少なくないようだ。

▽「内臓がはっきりくっきり見えます!」
 自営業の男性(56)は2020年春以来、「風邪一つどころか風邪気味にすらなっていない」と話す。男性は若い頃から毎年初冬になると喉が痛くなり、数カ月単位で咳や鼻水など典型的な風邪症状に悩まされていた。だがこの2年、頻繁に手を洗い、消毒を徹底していたところ、それらの症状が出なかったという。
 男性は会食を極力避け、仕事の会議もすべてオンラインに切り替えた。どうしても面会が必要な取引先の人とはオフィスの玄関口で短時間立ち話、用件だけで済ませるようにした。
 テレワークとなってからは、できるだけ体を動かそうと、居住するマンションのエレベーターは使わず階段を利用。自宅がある上層階までの200段を1日につき「2本」(2回)上がるのを最低ノルマと決めた。多い日には「4本」こなす。
 食生活も変わった。自宅で摂る夕食は、白米を茶碗半分に減らし、その分を酢漬け玉ネギや大根に置き換えた。そうしたところ、昨年秋の健康診断では脂肪肝が劇的に改善、エコー検査の技師に「これまで脂肪に覆われて見えにくかった内臓が、はっきりくっきり見えます!」と褒められた。
 医療職の女性(47)は、スマホに歩数を自動記録するアプリを入れ、ひとまず1日4千歩を目標に活動している。仕事で出掛ける日は意識せず目標値をクリアできるが、在宅日はそうもいかないので、家の廊下を「シャトルラン並みの早さで」動き回っているという。「目標を達成すると、スマホ画面にかわいいキャラクターが登場する。それが楽しみで」と笑う。
 メンタル面の特効薬は「野鳥観察」。庭に置いた巣箱には時々、スズメやメジロがやってくる。鳥の生態を眺め、写真を撮ることで気持ちが落ち着き、リフレッシュできるという。

▽椅子に座りながらできる運動も
 糖尿病、内分泌を専門とする「神戸元町県庁前クリニック」(神戸市中央区、三原正朋院長)では、在宅勤務となった患者に対し、家での時間を有効活用して健康につながる食生活を実現できるよう、以下のようなアドバイスを行っている。
・規則正しい生活を心掛け、3食を習慣にする。
・自炊の頻度を増やす。市販の料理キットなども利用しながら、まずは主菜を用意する。
・調理が難しい場合、宅配弁当に野菜をプラスするなどし、主食、主菜、副菜の栄養バランス、一人前の分量を意識する。
・自分の食事を客観的に振り返るため、カロリー計算アプリなどを使い、レコーディングダイエット(食事記録)を取る。
運動について、三原院長は、筋肉に負荷を掛けるトレーニングと有酸素運動の組み合わせを勧める。具体的には、椅子に座る・立ち上がる動作を繰り返す、かかとをお尻に近づける、もも上げ、つま先立ち、腹筋など、外の運動施設に行かずともできる効果的な方法を挙げる。とりわけデスクワークを長時間行う人におすすめなのは、椅子に座って片足を前にまっすぐ伸ばし大腿筋を鍛える方法。1回につき10~15セットを週2~3回以上、無理のない負荷で行い、「続けることが何よりも大切です」(同院長)。

▽在宅期間で健康的習慣の確立を
 家事の運動量も侮れない。立位で行う料理や洗濯はヨガに匹敵、掃除機をかける、風呂掃除などは軽い筋トレと同じくらいの身体活動量になるという。子どもや動物と活発に遊ぶと早足のウオーキング程度の活動量に相当するそうだ。
 三原院長はコロナ禍においても食事、運動に気を付けた体調管理が最も重要であることは変わらないとし、「在宅期間は自らの生活を見つめ直し、健やかで心豊かに生活できる機会となり得る。ポジティブに捉え、健康的な習慣を確立してもらえたら」と話している。

(文・青木理子)

2022/01/06
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第4号 黙食はおいしい

 あけましておめでとうございます。いつも読んでいただきありがとうございます。2022年もどうぞよろしくお願いいたします。

 さて現在(2021年12月)、国内のコロナ感染は抑えられ、レストランやカフェの前に行列する風景も戻ってきている。
 他方、外食にためらいを覚えるという人もまだ多くいる。約7割の企業がコロナ下での忘年会、新年会は開催しないという報道もあった。感染者数が減っても慎重に暮らしていきたいという思いは根強いようだ。

 ▽友達との黙食
 私も11月、久しぶりに友達と昼ごはんをともにした。家族以外と食事をしたのは1年数カ月ぶり。テイクアウトしてバラが見頃の公園で食べようということになり、友達は幕の内弁当、私はピザを購入した。ひとしきりおしゃべりし、そろそろお昼というタイミングで彼女がきっぱりと言った。「黙食は気まずくなりがちだけど、食べ終わるまで頑張ろう」。
 食べ始めてすぐにその言葉の意味を実感した。誰かと一緒に食べていると、感じていること、目に映っているものをつい言ってしまいそうになる。「晴れて良かった」「おいしい」「バラがきれい」。浮かぶコメントも全部飲み込みながら10分足らずで食事を終えた。
 「黙食」は、もともと福岡市のカレー店経営者がSNSで発信したことがきっかけで各地の飲食店に広がったという。感染リスクを下げる効果は、スーパーコンピューターの解析でも裏付けられているそうだ。今や外食のマナーと言っても良いだろう。


 ▽小学校でも定着
 次女が通う地元の公立小学校でも、給食は全員が黒板の方を向いて無言で食べている。その間、教室内では、当日のメニューに関連した動画が上映されているという。動画は栄養教諭によるオリジナル作品とのことで、感染防止のためのこまやかな取り組みに頭が下がる。
 「動画を見ていたら、おしゃべりを防げるね」と娘に言ったところ「いや、もう(黙食は)習慣になっているし。話したいことがあったら早く食べてマスク着けて話しているよ」との返事だった。
 ところで外食といえば、緊急事態宣言中、在宅している家族分の食事まで朝昼晩作り続けた厨房担当(わが家では私)こそ、お店の味を楽しみたい欲求が高まっているはずだ。私の場合は同宣言中、ホテルのバイキング(ブッフェ)が恋しくて、前夜の残ったおかずを種類ごとに大皿に盛り、食べ放題気分で昼ごはんにしたりしていた。

 ▽今、ホテルバイキングは
 大阪新阪急ホテル(大阪市北区)の「グルメバイキング オリンピア」は2020年3月以来、長期間休業を余儀なくされ、2021年夏、いったんオープンしたものの短期間で再び休みに。同年10月から営業再開し、現在は、280ある席を約6割減らし、30分ごと50人ずつの入場で案内している。掲示でマスク会食を推奨し、客自身でなくシェフが一皿ずつ手渡す取り分け方法に変わった。同ホテル広報担当は「制約がある状況だが、できたてメニューをおいしいうちに食べてもらいたいというこだわりは、変わらず実現できている」と胸を張る。
 豪華なスイーツブッフェが人気の「ザ・リッツ・カールトン大阪」(同)では、週末のブッフェ予約はコロナ流行以前よりも増えているという。感染対策として、これまでも「マスク会食にご協力ください」と記したカードをテーブルに置いていたが、「より具体的な表現の方が伝わるのではないか」との意見から、新たに「会話の際はマスクをご着用ください」との文言も追加した。カードには「1人1人のお客様に少しでも安心して食事を楽しんでもらいたい」とのスタッフの思いが込められている。

 ▽よく噛んで、ゆっくり味わう
 「会話しないのは味気ない」と黙食に消極的な人もいる。誰かと同席していても、ストレスを感じずに黙って食べる方法はないものか。
 山中祥子(やまなか・さちこ)立命館大学食マネジメント学部助教(食行動)が提案するのは「映画や芝居を静かに鑑賞する感覚で外食に臨んでみては」との発想の転換だ。
 「今までは、話しながら何気なく摂っていた食事だが、食べているその瞬間に集中し、一口ずつよく噛んでみると、これまで気付かなかった食材のおいしさや特徴に気付くかもしれない。ここでの気付きを食後に語り合うのを楽しみにゆっくり味わうというのも食の楽しみ方の一つではないか」。
 食べ物との対話によって、これまでとは別趣の心豊かな食事時間がもたらされることだろう。

(文・青木理子)

2021/10/01
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第3号 飲み会、行きたいですか?

 ▽立ち話が減った
 ばったり会った知人と立ち話する、というシチュエーションが最近めっきり減った気がする。
 そもそも外出をできるだけ控えているから人と会う機会が少ない。出掛けたとしても道行く人のほとんどがマスク着用なので、瞬時に知り合いと判別できない。そしてたとえ顔見知りと気付いても、「近寄って会話してリスクにつながらないか」「相手に嫌がられないか」などと気後れし、つい声を掛けそびれてしまうことがある。
 相手も同じだったのか、帰宅後に「さっきあなたを見たよ。元気そうで良かった」とメールをもらったことがある。直接言葉を交わさずとも、お互いの無事が確認できたらうれしいものだ。対面で話さなくても十分、むしろ今は程良い距離に感じる。私だけだろうか。
 
 ▽「距離保ったコミュニケーション」3割望む
 BIGLOBEが行ったアンケート(「新型コロナウイルスワクチン接種後の生活に関する調査」。全国の20代~60代男女1000人を対象とし5月下旬に実施)によると、「接種後も元に戻ってほしくないと思うことは」という問いに「一定の距離を保ったコミュニケーション」(31.2%)、「会社の飲み会や接待のない生活」(32.9%)などの回答があった(複数回答)。約3割の人が「飲み会がない生活」を続けたいと思っている結果にちょっと驚いた。
 かつて頻繁に行われていた仕事帰りの宴会や知り合いとのランチ。それらがなくても「世の中回っていくのだな」という意識は浸透してきた印象がある。
 かたや、オンラインミーティングはこの1年半で幅広く定着した。会議や授業はもちろん、学会、講演会、コンサートなど、あらゆる集いが日々、画面越しに開催されている。
 私事だが、先日、Zoomを利用した大学の同窓会があり、卒業以来一度も会っていなかったクラス仲間と久しぶりに〝再会〟した。海外勤務や育児、介護中などさまざまな環境に身を置いたメンバーが語り合えたのは、自宅から気軽に参加できるリモートだったからこそ。コロナ禍によって実現した貴重な機会だった。

 ▽飲み会文化、どうなる?
 飲み会がない生活を今後も望む人が3割いた背景について、土田昭司(つちだ・しょうじ)関西大学社会安全学部教授(社会心理学)は、「在宅生活をきっかけに、夜、家族で過ごす時間がかけがえのない幸せと気付いた人も含まれているのでは」と推測する。
 同教授は、飲み会文化の今後は定かではないが、リモート勤務の定着とともに衰退していく可能性もあるとし、その場合、「飲み会に代わる社員同士や他社の人とも話せる場は必要であり、それにかかる経費を補助するなど会社の理解があると良い」と提案する。さらにコロナ収束後、「試行錯誤を経て、再び飲み会文化が華やかに復活する可能性もある」ともみる。「いずれにしても私たちは元の生活に固執せず、状況を受け入れ、前に進んでいくべきです」。
 多くの人がかつて行われていたような飲み会、親密なつきあいを思い描きながら、自粛生活を送っているだろう。飲み会が好きな人も、そうでない人も、それぞれが心地良いと感じる距離感を互いに認め、ナチュラルに尊重し合える世の中になればすてきだ。

(文・青木理子)

2021/07/01
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第2号 帰省したいけど…

 帰省するか、否か。新型コロナの流行が始まって以来、離れて暮らす親がいる人の多くが抱える問題だ。盆休み前などは、さらに切実な悩みとなるだろう。
 今年の大型連休の際は昨年の同時期と比べて帰省する人が増えたと報道された。ネットのコメント欄には「高齢の親に会いに帰る帰省は、不要不急ではない」という趣旨の書き込みも少なくなかった。一方で、感染リスクから帰省に踏み切れない人もたくさんいる。

 ▽うがいの飛沫
 私自身も親元を離れて暮らしている。80代の父と70代の母は、新幹線と普通電車で計3時間半ほどかかる町にいる。昨年夏、感染状況が比較的落ち着いていたタイミングで1度だけ会いに帰った。
 実家近くにホテルを取り、短時間、顔を見に行く計画だった。「ただいま」「おかえり」。マスク越し、遠目ながら元気な様子を確認。少しほっとして、洗面所で手を洗い、うがいをした。
 うがい後、鏡の前の見えにくいところに歯ブラシが置いてあるのに気づき、血の気が引いた。「私が無症状感染者だったら、今のうがいの飛沫はヤバかったのでは」。
 歯ブラシ、シンク、蛇口を必死に洗浄。着くなり洗面所にこもっている私を心配した母が「だいじょうぶね?」と来てくれるも、至近距離を恐れる私は「来んといて!」と絶叫。
 その後なぜか頭が痛くなり(緊張していたのだろう)、会話らしい会話もないまま、実家を後にした。宿にチェックイン後、父に「ホテルに着いたよ」「窓から熊本城が見える」などとLINEし、ようやく穏やかな気持ちに。結局、洗面所の掃除がメインの帰省となってしまった。そして今年は、感染力が上がった変異株の流行により、いまだ帰れずにいる。
 
 ▽「最後の正月かも」
 昨年からの帰省事情について、同世代の友人たちにも聞いてみた。私同様、「日帰り」の場合もあれば、「(自分の)家近くのホテルを予約し、親に来てもらった。こちらはマスク、両親はフェイスシールドで2メートル離れて座り、10分間だけ話をした」という人も。
 一人暮らしの母親がいる女性は「このままずっと会わないと、母の神経が参ってしまう」と不安が募り、夏休み、正月も感染対策をしながら実家に泊まった。感染も心配ではあったが「今年が一緒に迎える最後の正月になるかもしれない。後悔したくない」との思いが勝ったという。

 ▽顔を見て話す
 「外出自粛が始まったばかりの昨年と現在とでは、帰省について考え方が変わるのは自然」。髙井逸史(たかい・いつし)大阪経済大学教授(リハビリテーション科学)は、そう指摘する。
 同教授の調査によると、コロナの影響で社会との交流を制限した高齢者は、転倒恐怖や物忘れが著しく増大したという。家族と会えない孤独から、フレイル(虚弱化)や認知症に陥るリスクも懸念される。
 離れて暮らす高齢者との接触方法の中で、髙井教授は、「顔を見て話す」重要性を強調する。「LINEやZoomなどを利用し、画面越しに視線を合わせて会話するのが理想的。表情を見て話すと認知機能が刺激される」。通信環境が整わなければ電話でも良いとし、「毎日大体決まった時間に連絡を取り合うと、日々の張り合いにつながり、なお良いでしょう」と提案する。「オンラインで会えなければ、安全な交通手段を選び、庭先まで会いに行くのも1つの選択肢。最大限の工夫をして、家族との時間を大切にしてほしい」と言葉に力を込める。
 ワクチン接種や治療薬の開発によって、安心して帰省できる日常が一日も早く取り戻せるよう願うばかりだ。

(文・青木理子)

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