生協知っトクコラム

2022/04/01

第5号 ザ・在宅健康管理術

 コロナの感染が拡大すると、在宅勤務の人が増える。受信メールに「在宅なので連絡はメールでお願いします」と書いてあると「おお、この人も家にいてはるんや」と、勝手に親近感を持つ(フリーなので、コロナ前から家で仕事をしています)。
 誰ともしゃべらず1日パソコンに向かっていると、何ともいえない孤独感に陥ってしまう瞬間がある。そんな時、子どもがおやつ交換でもらい、置きっぱなしにしているチョコやクッキーをつい口に入れてしまう…のは私だけなのだろうか。
 だがコロナの影響で家族が終日家にいると、監視の目が働き、おやつ置き場に近づくことができなくなる。さらに昼食準備などで立ち働く時間が増える。その影響か、一昨年から昨年にかけて私は4キロ痩せた。この件、自分の中では「緊急事態宣言ナチュラルダイエット」と呼んでいる。
 私の体重減は上記の事情が大きいと思われるが、在宅ならではのヘルスケアを実践し、健康を維持している人も少なくないようだ。

▽「内臓がはっきりくっきり見えます!」
 自営業の男性(56)は2020年春以来、「風邪一つどころか風邪気味にすらなっていない」と話す。男性は若い頃から毎年初冬になると喉が痛くなり、数カ月単位で咳や鼻水など典型的な風邪症状に悩まされていた。だがこの2年、頻繁に手を洗い、消毒を徹底していたところ、それらの症状が出なかったという。
 男性は会食を極力避け、仕事の会議もすべてオンラインに切り替えた。どうしても面会が必要な取引先の人とはオフィスの玄関口で短時間立ち話、用件だけで済ませるようにした。
 テレワークとなってからは、できるだけ体を動かそうと、居住するマンションのエレベーターは使わず階段を利用。自宅がある上層階までの200段を1日につき「2本」(2回)上がるのを最低ノルマと決めた。多い日には「4本」こなす。
 食生活も変わった。自宅で摂る夕食は、白米を茶碗半分に減らし、その分を酢漬け玉ネギや大根に置き換えた。そうしたところ、昨年秋の健康診断では脂肪肝が劇的に改善、エコー検査の技師に「これまで脂肪に覆われて見えにくかった内臓が、はっきりくっきり見えます!」と褒められた。
 医療職の女性(47)は、スマホに歩数を自動記録するアプリを入れ、ひとまず1日4千歩を目標に活動している。仕事で出掛ける日は意識せず目標値をクリアできるが、在宅日はそうもいかないので、家の廊下を「シャトルラン並みの早さで」動き回っているという。「目標を達成すると、スマホ画面にかわいいキャラクターが登場する。それが楽しみで」と笑う。
 メンタル面の特効薬は「野鳥観察」。庭に置いた巣箱には時々、スズメやメジロがやってくる。鳥の生態を眺め、写真を撮ることで気持ちが落ち着き、リフレッシュできるという。

▽椅子に座りながらできる運動も
 糖尿病、内分泌を専門とする「神戸元町県庁前クリニック」(神戸市中央区、三原正朋院長)では、在宅勤務となった患者に対し、家での時間を有効活用して健康につながる食生活を実現できるよう、以下のようなアドバイスを行っている。
・規則正しい生活を心掛け、3食を習慣にする。
・自炊の頻度を増やす。市販の料理キットなども利用しながら、まずは主菜を用意する。
・調理が難しい場合、宅配弁当に野菜をプラスするなどし、主食、主菜、副菜の栄養バランス、一人前の分量を意識する。
・自分の食事を客観的に振り返るため、カロリー計算アプリなどを使い、レコーディングダイエット(食事記録)を取る。
運動について、三原院長は、筋肉に負荷を掛けるトレーニングと有酸素運動の組み合わせを勧める。具体的には、椅子に座る・立ち上がる動作を繰り返す、かかとをお尻に近づける、もも上げ、つま先立ち、腹筋など、外の運動施設に行かずともできる効果的な方法を挙げる。とりわけデスクワークを長時間行う人におすすめなのは、椅子に座って片足を前にまっすぐ伸ばし大腿筋を鍛える方法。1回につき10~15セットを週2~3回以上、無理のない負荷で行い、「続けることが何よりも大切です」(同院長)。

▽在宅期間で健康的習慣の確立を
 家事の運動量も侮れない。立位で行う料理や洗濯はヨガに匹敵、掃除機をかける、風呂掃除などは軽い筋トレと同じくらいの身体活動量になるという。子どもや動物と活発に遊ぶと早足のウオーキング程度の活動量に相当するそうだ。
 三原院長はコロナ禍においても食事、運動に気を付けた体調管理が最も重要であることは変わらないとし、「在宅期間は自らの生活を見つめ直し、健やかで心豊かに生活できる機会となり得る。ポジティブに捉え、健康的な習慣を確立してもらえたら」と話している。

(文・青木理子)

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